「SWトイの代表選手:アクション・フィギュア」

  星の数ほどある「スター・ウォーズ」関連商品の中でも、代名詞とも言えるのがアクション・フィギュアです。その20年以上にも及ぶ、映画と共に時代を明暗してきた歴史を紹介します。

1970年代、衰退し色褪せていくハリウッド映画業界に閃光のごとく登場した映画『スター・ウォーズ』。世界中で記録的な大ヒットとなり、第50回アカデミー賞では7部門を受賞しました。それまでディズニー映画は例外として、米国映画産業界では常識となっていた「映画関連商品は売れない」というジンクスによって、スター・ウォーズの関連商品化も契約は難航を極めました。そして唯一興味を示し、玩具化権を獲得した米国ケナー社によって、1977年に商品化の開発がスタートします。1978年、スター・ウォーズの玩具としてフィギュアが発売されて以来、映画の個性的なキャラクター達が銀幕を飛び出し手に取って遊べる事は、子供から大人まで映画同様に多くの人々を魅了しました。

当初、12種類が発売されたフィギュアは、1980年『帝国の逆襲』、1983年『ジェダイの復讐』の公開に合わせ、回を追うごとにその数は80種類にまで増大します。これらのフィギュアは日本では映画公開ごとに輸入代理店が変わりながら発売されました。しかし、全てのアイテムが国内発売されるたわけではない上に、当時は円が安かったという為替の事情もあり、国内販売価格も高価な物が多かった時代でした。そんな状況でありながらもフィギュアは世界中で発売され、多くの人々を魅了しコレクターを生み出しました。しかし『ジェダイの復讐』公開後は3部作が完結してしまい、新作の公開も毎年噂だけで消えていくにしたがって、フィギュアの売り上げも後退していきます。後にケナー社はハズブロー社によって吸収され、新商品の発売も無くなりファンにとって寂しい時代が訪れます。

暗黒となった時代は10年にもおよび、世間からスター・ウォーズの存在さえも忘れ去られようとしていましたが、マクファーレン・トイズ社を主力に世界的にフィギュアがブームになった1995年、ハズブロー社は突如としてスター・ウォーズのフィギュアを新たに発売します。折からのブームでフィギュアが広く市民権を得た中、1997年、スター・ウォーズ生誕20周年を記念してルーカス・フィルムは『新たなる希望』『帝国の逆襲』『ジェダイの復讐』の3作を「特別篇」として公開。映画と同様、生まれ変わったスター・ウォーズ・フィギュアも再び脚光を浴び、世代を越えた新たなファンを生んだのです。

「特別篇」の公開で世界中が沸き上がる中、新3部作の制作も発表されハズブロー社は玩具化権を引き続き獲得し、1998年『エピソード1・ファントム・メナス』の公開に先がけ先行フィギュアを発売します。この「先行フィギュア」という企業戦略は、意外な副産物をも生み出す事になりました。映画公開と同時に発売される関連商品の性質上、企画や生産は早い段階で行われる為、フィギュアの生産ラインから漏れるリーク情報は早耳なファンにとって、登場キャラクターやストーリーの予想をする恰好の材料となったのです。また、フィギュア・コレクションという趣味のジャンルが確立された結果、スター・ウォーズ自体は知らないけれどフィギュアは好きというコレクターを生む珍現象まで起きたのです。

日本でもエピソード1関連のフィギュアは劇場公開より1ヶ月も早く先行発売され、これまでに例のない盛り上がりになりました。発売日には人気キャラクターのフィギュアは即日完売になるという状態が続いたことは記憶に新しいと思います。現在ではスター・ウォーズのアクション・フィギュアはスクリーンやビデオとはまた違った形で一つの文化を形成しています。親子で遊んだり、コレクションしたりと様々な魅力でファンを虜にしるフィギュアは、スター・ウォーズをいつも間近に感じさせるアイテムとして今後も愛されることでしょう。